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  2. 災害に強い東北を実現するための太平洋側・日本海側の代替機能の強化

災害に強い東北を実現するための太平洋側・日本海側の代替機能の強化

(1) 考え方

東日本大震災では、津波や地震動により企業の事業活動に大きな影響が出たほか、サプライチェーンの途絶により、事業中断の影響が広く全国・海外へも波及した。

このような災害リスクは、東北地域にも引き続き存在し、例えば、太平洋岸には大規模余震による津波リスク、日本海側でも周期的な地震の発生懸念が指摘されている。そこで、大災害への備えを東北地方の企業・組織も引き続き強化することが必要である。

その際、事業継続の視点からは、広域大災害への有効な代替戦略として、同時に被災しない地域の企業・組織や施設との連携協力が求められる。東北地方の地理的な特性から、太平洋側と日本海側が同時被災する可能性が低いことを踏まえ、近接した県であっても東側、西側の両側が互いに代替機能を果たす関係を明確化すれば、東北地方全体の災害対応力の向上がアピールでき、これが企業立地競争や東日本大震災の復興を有利にすると考えられる。

(2) 研究の取組み

12月26日(木)14時から3時間にわたり、東北大学災害科学国際研究所 主催のパネルディスカッション「東北地方の産官学民の防災の取組」が、TKPガーデンシティ仙台勾当台(仙台市)で開催された。産官学民の連携をテーマとしたパネルディスカッションであり、同研究所の丸谷研究室が事務局となって開催しました。なお、神戸大学社会科学系教育研究府が共催者である。

テーマは、東北地方の産官学民の防災の取組で、主に、南海トラフ地震、首都直下地震等の大災害発生時、東北各県が連携のうえ、どのように有効な広域支援が行えるかについて話し合った。

パネリストは以下のとおりである。

越野 修三 岩手大学地域防災研究センター教授
小松 宏行 宮城県総務部危機対策課危機対策企画専門監
紅谷 昇平 神戸大学大学院 国際協力研究科兼社会科学系教育研究府 特命准教授
蓮江 忠男 (株)日本政策投資銀行東北支店東北復興支援室次長
丸谷 浩明 東北大学災害科学国際研究所(防災社会システム研究分野)教授・
NPO法人事業継続推進機構副理事長

パネリストからのプレゼンテーションに引き続き、宮城県庁、仙台市役所、東北地方整備局、東北地方運輸局、東北経済連合会をはじめ約二十名の来場者の方々とともに議論を行った。その中で、東日本大震災で広域支援を受け入れた経験、成功例や失敗例を教訓とし、東日本大震災での支援のお礼の意味も込めて、他地域での大災害発生時にいかに広域支援に取り組むかについて、具体的な意見交換が行われました。また、行政の災害対応体制や対応人材の育成のあり方などにも議論が広がった。

研究の取組み

パネルディスカッションの様子