今日の災害対応において、災害ボランティアの方々の活動はなくてはならないものとなっている。東日本大震災においても、そのことが改めて明らかになった。
平成16年度は、7月の新潟・福島豪雨と福井豪雨にはじまり、観測史上最多となる10個の台風が本土に上陸し、各地で風水害をもたらした。その後、10月の新潟県中越地震、3月の福岡県西方沖地震など、各地で度重なる自然災害が発生した。そして、これら一連の災害において多数のボランティアが活躍し、各被災地に約60のボランティアセンターが設置され、全国から延べ26万人以上の人々が駆けつけ、被災家屋の清掃、避難所での支援、救援物資の仕分けなどを行った。
平成17年度に入っても、台風14号の風水害において全国で20箇所のボランティアセンターが設置されるなど、ボランティア活動が続いた。
このようなボランティアのめざましい活躍を受け、政府としても、災害ボランティア活動の環境整備に努めてきた。まず、災害発生時のボランティア活動の状況を、内閣府防災担当のホームページからできるだけリアルタイムに情報提供するようにし、さらに、以下のような災害ボランティア関係者との意見交換の場をもち、環境整備のあり方を検討してきた。
平成16年7月に発生した新潟・福島及び福井の豪雨では,延べ10万人以上のボランティアが活動し、ボランティア関係者の経験を踏まえた円滑な対応もあり、有効な活動がなされた。
内閣府は、この経験を今後の施策やボランティア活動に活かすため,井上防災担当大臣の参加のもと、平成16年9月17日、東京において「16年7月豪雨ボランティア懇談会」を開催した。これら豪雨災害の現地で活動したボランティア、広域的に活動したボランティア等74名のボランティア関係者が集い、活動を振り返って教訓等を明らかにし、ボランティア活動の一層の発展に資するべく熱心な議論が行われた。
懇談会では、ボランティアセンターの立上げや運営など,災害ボランティア活動の実施には市町村とボランティアの連携ができるかどうかが重要なポイントであるとの指摘や、ボランティアの活動資金として基金が存在した地域では大変迅速な活動開始ができ、お金がない地域では立上げに苦労したという報告があった。また、災害が起きてからではなく、災害が起きていない日常においても、ボランティア、行政、社会福祉協議会等の連携が必要との指摘があった。
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16年7月豪雨ボランティア懇談会で挨拶をする井上前防災担当大臣
内閣府は、ボランティア活動の環境整備を進めるため,「防災ボランティア活動検討会」を開催することとした。防災に係るボランティア関係者30数名,ボランティア活動に詳しい学識経験者10名程度をメンバーとし、村田防災担当大臣をはじめ、関係省庁職員も参加して、平成17年3月7日以降、会合を開催している。
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防災ボランティア活動検討会で挨拶する村田防災担当大臣